ダメージ計算におけるレベルの影響
2021年09月26日 18:55
現代ルールではレベル50での対戦が基本であるが、古代ルールではレベルが固定でない場合もある。
レベルが変化することでの影響はいくつかあるが、今回はダメージ計算への影響を書いていく。
レベルが変化することでの影響はいくつかあるが、今回はダメージ計算への影響を書いていく。
まず、ダメージとステータスの計算式を確認する。
ダメージ計算式を暗記している方は0.44という数字を覚えているかもしれないが、これは((レベル×2÷5)+2)÷50の部分にレベル50を代入した値である。
・ダメージ計算式(実際にはこの後ろにタイプ一致や相性などの補正がかかる)
((攻撃側のレベル×2÷5)+2)×技威力×攻撃÷防御÷50
・ステータス
(種族値×2+個体値※1+努力レベル)×レベル÷100+(※2)
※1:第二世代までは個体値×2
※2:HPの場合は10+レベル、それ以外の場合は5
まずステータス計算式を見ると、レベルに比例していることが分かる。
また、ダメージ計算式を見ると、「レベル」という項目が直接あることが分かる。レベルを上げるとダメージが上がるというのは直感的にも明らかではあるが、それはレベルを上げたことで攻撃力が上がるためであると思われるかもしれない。もちろん正しいのだがそれだけではなく、レベルという項に直接的に作用していることが分かる。
攻撃力がレベルに比例することを考えると、ダメージは攻撃側のレベルの二乗に比例することが分かる。
また、ダメージ割合、すなわちダメージ÷HPを考えると、防御HPともにレベルに比例することから、ダメージ割合は防御側のレベルの二乗に反比例することが分かる。
余談だが、このようなダメージ計算式になっているのは、シナリオを進めてレベルが上がっていった際にダメージ割合が目減りしないようにするためと考えられる。もしレベルの項がなかった場合、敵味方のレベルが同じペースで上がっていくとすると、ダメージ割合はレベルに反比例することになってしまう。(レベルが上がると強力な技を使えて技威力が実質上がるとも考えられるが、レベルが40~60くらいになったあたりから威力の上昇は頭打ちになりがちである。)
■レベルボーナスは離散的に変化する
大まかに見てダメージがレベルの二乗に比例するというのは事実だが、厳密に見るとその変化は連続的ではなく離散的である。なぜなら小数点以下切り捨てが随時発生する関係で、レベルを1上げただけでは差異が発生しないことがあるためだ。
レベル配分ありのルールにおける最もメジャーなケースである、レベル50~55の場合を考える。問題になるのはダメージ計算式の中の(レベル×2÷5)の部分である。これを便宜上レベルボーナスと呼ぶことにする。(一般的な呼称ではないことに注意。)
レベルボーナスを各レベルで計算すると以下のような結果になる。
レベル50:20.0→20
レベル51:20.4→20
レベル52:20.8→20
レベル53:21.2→21
レベル54:21.6→21
レベル55:22.0→22
レベルを50から51に上げるとレベル差は1.02倍となり2%増加するはずだが、レベルボーナスは変わらず、攻撃力が上がった分だけがダメージ計算に反映されることになる。一方でレベル50から55に上げるとレベル差は1.1倍になっているわけだが、レベルボーナスはちゃんと1.1倍になっているので、およその見積もりとして比例が妥当であることも確認できる。
ダメージ計算の効率上レベル53や55が効率がよいとされているのは上記の結果によるものである。
なお、ここまでの考察からレベル50と55の場合ではダメージ量に1.21倍の差があることが分かるが、ダメージ計算の最後に入る乱数の幅が217/255、あるいは0.85であることから、ダメージ量が1.21倍になるとちょうど確定耐えだったものが確定落としになる。狙ったものか偶然かは分からないが、レベル50~55というレベル設定の妙であると言える。
■レベルを下げることによるマイナス
レベル配分のない現代ルールでも、トリックルームや味方殴りなどの関係で敢えてレベルを下げる場合がある。(レベルを下げられる時点で現代ではなく古代ではないかという説もあるが気にしないことにする。)
例えばトリックルーム下での同速対決を避けるためにレベルを49にするケースを考える。レベルが1下がっただけでは大した差にならないと思うかもしれないが、レベル49時のレベルボーナスは19。つまりレベル50の場合に比べてレベルボーナスは5%も低下してしまう。そのため思った以上に火力が落ちてしまうことは留意しなければならない。
■他ルールにおけるレベル差
公式で生み出されたルールでレベル配分があるものは、ニンテンドウカップの他にはファンシーカップ、イエローカップがある。第三世代以降はないはず。
ファンシーカップはレベル25~30であり、つけられるレベル差は1.2倍。つまりダメージ量は1.44倍になる。こだわりハチマキ、メガネに相当する倍率がレベル差だけでついてしまうということになり、なかなか強力である。
さらに強烈なのがイエローカップ。レベルは15~20が対応しているが、レベル差で4/3倍、ダメージ量は16/9倍とおよそ2倍の差が付いてしまう。常時弱点を突かれているようなもので、レベル20ポケモンが高威力技を振り回しているだけでレベル15ポケモンは大ダメージを負ってしまう。
■周回時の概算
対戦ではなく周回時であればより大きなレベル差をつけることができる。特にID調整で最初から高レベルポケモンを付ける場合は顕著である。例えばレベル差が5倍付いていれば、同レベルの場合に比べてダメージ量は25倍となる。元々確定25発だった相手まで確定一発になるということである。一発で倒せるかどうかの概算時には応用できるかもしれない。
また、イエローカップの例から分かるように、レベルが低いうちは1上げるだけでも増加割合としては大きい。周回やタイムアタックなどで低レベルで戦う区間を考える際、レベルを少しでも上げることで思いがけず戦闘が楽になる可能性がある。