【3世代制限シングル】分身バトンサンダー+積み展開
2019年04月22日 20:06






サンダー@たべのこし
196-x-149-145-110-123
10まんボルト かげぶんしん みがわり バトンタッチ
ヘラクロス@カムラのみ
155-194-95-x-116-137 こんじょう
メガホーン きしかいせい つるぎのまい みがわり
スイクン@カゴのみ
207-x-159-115-135-123
なみのり れいとうビーム めいそう ねむる
アーマルド@ラムのみ
165-179-121-x-131-66
ロックブラスト じしん つるぎのまい ねむる
ハガネール@せんせいのツメ
182-138-221-x-95-51 がんじょう
じしん いわなだれ めざめるパワー(飛行) だいばくはつ
フシギバナ@ひかりのこな
171-103-119-x-121-145
ヘドロばくだん ねむりごな やどりぎのタネ みがわり
(スイクンの実数値は理想値で計算したもの)
【概要】
今回のルールでは、カビゴン、メタグロス、サンダー、ゲンガー、ラティオス、ラティアスはどれか1体までしか採用できない(制限枠)という縛りがあった。
このルールでは、カビゴンとメタグロスが特に数を増やすと考えた。この2体は制限枠の中でも特にパワーが高く、他のポケモンで代替しにくい役割を持っている。
この制限枠でまず優位に立つために、HB身代わりサンダーから構築をスタートした。サンダーというと対メタグロスでは強く対カビゴンでは五分以下という印象を持たれがちである。しかしHB特化することで、A無振り近辺のカビゴンののしかかりを身代わりが耐えるため、強弱関係は逆転し起点にできる。しかしカビゴン側には鈍いという積み技がある一方で、サンダー側にはまともな積み技はなく、せいぜい金属音でカビゴンを崩すのが精一杯である。そこで、サンダーの使える数少ない積み技である影分身を採用するとともに、バトンタッチで後続に引き継ぐというコンセプトで考えた。最近の傾向として、カビゴンはAを低めに設定して耐久に厚く振りカウンターや自爆、地割れといった役割破壊技を採用する型が多いと感じていた。メインウエポンは9割以上がのしかかりであり、しかもこのダメージ計算結果はおそらく誰も知らないだろうと思い、このタイミングで使えば刺さるであろうと考えた。
まず考えるべきは、カビゴンが鈍いで抵抗してくるパターン。分身を積んで身代わりバトンまで成功したとしても、カビゴンのBが上昇していると突破は難しい。そこで後続として用意したのが剣舞身代わりヘラクロス。後続も身代わりを持つことで分身を活かしやすく、剣舞を積めばB上昇も帳消しにできる。制限枠以外で数を増やすと見ていたボーマンダは対ヘラクロスとして代表的なポケモンであるが、耐久無振りボーマンダは剣舞起死回生が決まれば倒せてしまう。ゲンガーが数を減らすということもあり、剣舞起死回生での全抜きは決まりやすいだろうと判断。
続いて、身代わりサンダー対策の1つにロックブラストが挙げられるため、岩タイプ全般に強いスイクンを採用。これも瞑想で積むことで、分身バトン先の1つになれる。
ここまでで相手の身代わりへの対策がまるでないため、簡単にハメられてしまうのが気になった。そこで、連続技の中でも性能の高いロックブラストを使えるアーマルドを採用。身代わり持ちとしてはジュカインとハピナス、スイクン、ギャラドスをまず意識すべきだと考えたが、そうするとジュカインに対して連続技を撃てるよう草弱点でないということが条件として必要である。となるとほぼアーマルドくらいしか候補がないが、ラムを持てば威張る身代わりハピナスにも強めなので問題ないと考えた。スイクンには弱めだが、サンダーヘラクロスが強めなためこの条件は諦めることにした。
ここまでで辛いのが、ヘラクロス+サンダースのような組み合わせ。特にサンダースはサンダーに後出ししてくるポケモンの中でもメジャーであり、対策は必須。今回は電気耐性のあるポケモンとして、フシギバナとハガネールを採用。フシギバナも分身バトン先候補になれるポケモンであり、宿り木や眠り粉でカビゴンをはじめとする幅広いポケモンを相手できる。ハガネールは、ここまでで薄い岩耐性を確保するために採用。カビゴンが依然として数多く採用されてることが予想され、その裏にメタグロスがいないという環境では、通常ルールでもカビゴン対策として採用されやすい岩ポケモンはより活躍を期待される。しかもメタグロスがいる構築には必ずカビゴンがいないということでもあるため、メタグロス入りに対して無理に選出する必要もなくなる。ということも考えて自分も岩ポケモンであるアーマルドを採用したわけだが、逆に相手の岩技への耐性がまるでない並びとなったため、耐性の優秀なハガネールを採用した。
結果として、ハガネール以外はバトン先になれるポケモンとなったため、相手の構築に応じてバトン先を切り替えながら積んでの全抜きを狙う。
【個別解説】

サンダー@たべのこし
196-x-149-145-110-123
10まんボルト かげぶんしん みがわり バトンタッチ
・補正なし70族抜き
・A131カビゴンののしかかりを身代わりが31/39耐え
構築のスタートとなったポケモン。
サンダーの身代わりをカビゴンで割れないとはおそらく誰も予想しないだろうと思い、制限枠を割いてでも採用を決めた。技構成、配分はコンセプトからこれ以上動かしようがない。HPを196まで上げてしまうと身代わり残飯の兼ね合いで効率が悪いのだが、それでも対のしかかりの乱数を少しでも有利にすることを優先した。

ヘラクロス@カムラのみ
155-194-95-x-116-137 こんじょう
メガホーン きしかいせい つるぎのまい みがわり
・AS全振り
・威力200のA+1起死回生で171-100ボーマンダを29/39で一発
技、配分ともに特筆事項なし。特性はどちらでもよかったが、根性しか持っていなかったのでこちら。基本的に起死回生を振り回したいので、虫の知らせは必須ではない。ボーマンダへのダメージを意識して意地っ張りとしたが、それでも怪しい乱数なので、諦めてフシギバナなどの上から身代わりを張れるよう陽気でよかったかもしれない。

スイクン@カゴのみ
207-x-159-115-135-123
なみのり れいとうビーム めいそう ねむる
・補正なし70族抜き
・冷凍ビームで171-100ボーマンダを36/39で一発
・A205鉢巻捨て身2耐え
瞑想を覚えるところがスイクンの最重要ポイントと考えているため、メインウエポンの波乗りとともに採用は確定。また、岩タイプに繰り出す役割もあるため、場持ちを意識して眠るを採用。残りの枠は身代わりや吠えるを入れることでそれぞれ威張る身代わりハピナス、瞑想ハピナスに強めになれるのだが、ボーマンダやフライゴン、草ポケモンなど氷技が必要となる相手が普段以上に数を増やすと予想したため、素直に冷凍ビームとした。

アーマルド@ラムのみ
165-179-121-x-131-66
ロックブラスト じしん つるぎのまい ねむる
・337-62ハピナスの身代わりをロクブラ2発でほぼ割れる(36/39で42ダメージ以上)
・A+2で上記身代わりを34/39で割れる
・C157ジュカインのリーフブレードをほぼ3耐え
・C130程度のハピナスの95技をほぼ4耐え
メインウエポンであり採用理由でもあるロックブラストと、積み技の剣舞は確定。剣舞+岩技はハピナス+エアームド(フォレトス)+サマヨールのような受け志向の並びを崩す手段としても有効である。対威張る身代わりでラムを持たせて、そのラムを活かしつつ火傷なども対策できる眠るを3つめの技として採用。ラストの技として、岩との攻撃範囲に優れる地震を採用。ハガネールなどの鋼に対する打点となり、命中安定で削りに行ける技でもある。
配分は、急所まで考慮して対ジュカインである程度動けるようにHDに厚めに振った。

ハガネール@せんせいのツメ
182-138-221-x-95-51 がんじょう
じしん いわなだれ めざめるパワー(飛行) だいばくはつ
・156-96ヘラクロスをめざめるパワー(飛行)で確定一発
メインウエポンの地震、起点回避や一対一交換に役立つ爆発は確定で採用。サンダーやボーマンダへの打点となる岩雪崩も優先度が高い。先制の爪を持つことで相手の身代わり対策となり、最悪爪爆発に懸ける筋を残せる。
残りの枠は吠えるなどがよく採用されるが、対ヘラクロスがかなり苦しい構築となってしまったことと、せっかく爪を持つのにジュカインへの打点がないことを考え、めざパ飛行を採用した。ヘラクロスを倒せるまでAを上げ、残りはHDに回した。

フシギバナ@ひかりのこな
171-103-119-x-121-145
ヘドロばくだん ねむりごな やどりぎのタネ みがわり
・C162サンダースの10万を身代わりが38/39耐え
・A205鉢巻コメット38/39耐え
・A177鉢巻メガホーン31/39耐え
フシギバナは対電気の他に対ジュカインも意識して採用したポケモンであるため、身代わりを割れるようヘドロ爆弾が撃てる物理型とした。草タイプ最強技である宿り木と眠り粉は採用しない理由がない。4つ目の技は光合成や草技も候補だったが、分身バトンや宿り木と相性のいい身代わりとした。コメットパンチやメガホーンへのごまかしにもなる。
配分はミラーや意地ヘラクロスを意識して最速。最低限の特殊耐久を確保した上で、メタグロスやヘラクロス前で動かせるように物理耐久に厚めに振った。持ち物は身代わりと相性のいい粉。
【選出・立ち回り】
まず狙うのはヘラクロスを通せば勝てるかどうか。対ヘラクロスがボーマンダだけ、といったような構築相手では、狙う価値は高い。次に狙いたいのはアーマルドでの全抜き。メタグロスを採用せずかつ地面タイプがいないような構築は岩技の通りがよく、剣舞ロックブラストで崩壊しやすい。瞑想スイクンも、サンダーがカビゴンを起点に積めれば勝ち筋になりやすい。
ロックブラストや吠えるなど、サンダーの障壁となる要素が多そうな構築に対しては、分身バトンにこだわらず普通に戦う。
【対戦ログ】
・カズーイさん 勝ち
カビゴン ボーマンダ スイクン (サンダース ヘラクロス ガラガラ)
フシギバナ サンダー ヘラクロス
ヘラクロスの起死回生が通せそうだと考え、サンダー+ヘラクロス。サンダースやカビゴンに抗えるフシギバナで決定。
試合はフシギバナが眠り粉宿り木身代わりを撃ちまくっていたら3体とも倒してしまった。
・赤月さん 負け
メタグロス サンダース ラプラス (ハピナス ヘラクロス フライゴン)
フシギバナ サンダー ヘラクロス
こちらもヘラクロスを通すことを狙った。
サンダースが身代わり電磁波と想定外の技構成であり、ヘラクロスが麻痺をもらってしまい負け。
・めらるばさん 負け
ヘラクロス ボーマンダ トドゼルガ (カビゴン ラグラージ サンダース)
ヘラクロス サンダー フシギバナ
これまたヘラクロスが決まれば勝てると判断。
しかし、カムラが発動していない状態では3体とも対ボーマンダが苦しく、ドラクロ持ちだったこともありサンダーで身代わりを残すこともままならない。結果としてボーマンダに相当活躍され、ヘラクロスvsトドゼルガの対面まで持ち込むも剣舞にアンコールを合わせられてしまい、最速で解除されることに懸けるも叶わず負け。アーマルドを優先するべきだったかもしれない。
・Hopeさん 勝ち
ヘルガー フライゴン メタグロス (ギャラドス カイリキー ヌオー)
サンダー ヘラクロス スイクン
スイクンがかなり刺さっており、起点にされそうなギャラドスにはサンダーを投げればよさそうに見える。
相手の3体が割れた時点でスイクンを大事にすれば勝てそうだったので、メタグロスの爆発を食らわないように注意しながら立ち回って勝ち。
・もっきーさん 勝ち
ヘラクロス ハピナス エアームド (カビゴン スイクン ラグラージ)
サンダー ヘラクロス アーマルド
ヘラクロスかアーマルドのどちらかは通せそうだと判断。
初手はエアームドかスイクンと読んでサンダーを先発にしたら出し勝ち、分身バトンを始動。途中何度か吠えるで流されるも、その間に剣舞ロックブラストでエアームドをどんどん削っていく。最終的にロックブラストで崩してヘラクロスでとどめを刺して勝ち。
・ビーンさん 勝ち
カビゴン マタドガス ヘラクロス (スイクン サンダース ギャラドス)
アーマルド サンダー フシギバナ
ヘラクロスの通りは悪いと判断し、アーマルドかフシギバナを通すことを狙う。初手は不利対面を作ってもサンダー繰り出しから身代わりを始動できるようにアーマルドを選択。
結果として先発は出し勝ち。スイクンに退くのが見えていたのでサンダー交代を合わせたらマタドガスが出てくる。身代わりがヘドロ爆弾を耐え、黒い霧もなかった上にカビゴンののしかかりも身代わりを割れず、あとは分身剣舞でやりたい放題して勝ち。
・poeさん 負け
ラグラージ ハピナス ゲンガー (ヘラクロス サーナイト トドゼルガ)
サンダー スイクン アーマルド
スイクンかアーマルドのどちらかは通せそうだと見て選出を決定。
嫌な予感はしていたが、案の定ラグラージが吠える持ちで分身バトンを決められない。そのままハピナスの威張る身代わりでスイクンが無償で突破され、ラグラージに蹂躙されて負け。威張るのタイミングでラムアーマルド交代を合わせるべきだったのだが、まだ威張るを持っているか割れていない中でその選択肢を取れなかった。一旦スイクンで寝てから仕切り直しと考えていたが、一度も動かず終わってしまった。
【感想】
・「この制限枠でまず優位に立つために、HB身代わりサンダーから構築をスタートした。」という思考がそもそもダメ。制限枠だけで戦っているわけではない。シングルバトルは6体、あるいは3体で戦うものであり、並び単位で仮想敵は絞るべきである。幸い、サンダー自体は採用を後悔するようなポケモンではなかったため大怪我せずに済んだが、ちゃんとした思考をするようにしなければならない。
・この手の構築を使う度に言っているが、麻痺や眠りサポートなしの単独での粉や分身身代わり連打はそこまで期待値が高くない。なのでやるからには、一度避けるだけで勝ちに大きく近づくような構成にしておかなければならない。その観点で言うと、(ゲンガーの数が少ないこともあって)身代わり剣舞ヘラクロスはその条件を比較的満たしていると思うが、それ以外は複数回避けて身代わりを残す前提のポケモンとなってしまった。
・この型のサンダーは何年も前から温めていたアイデアであったのだが、そもそもこの制限ルールで使うポケモンだったのかというのは議論の余地がある。というのも、本来想定していたのはメタグロスにサンダーを後出しし、カビゴン交代際に身代わりを残し、のしかかりを耐えながら分身を積む、という動きなので、カビゴン+メタグロスの並びが存在しない環境では旨味が薄い。一方で、相手のサンダー、ゲンガーラティが数を減らすというのは、サンダー+ヘラクロスを通す上では追い風なので、何とも言えない。何度も述べているように、このダメージ計算結果はまだ誰も知らないだろうという自信はあったのだが、そうは言っても時が経つにつれて誰かが気付くリスクは増大していく。相手のカビゴンのAが上がり出したら破綻する戦法でもあるので、また環境が動き出す前に使ってしまった方がよいと考えた。ただ、前回のくどオフで、分身バトンサンダーが優勝してしまい、最善なタイミングを逃してしまった感はある。
・サンダーの上から身代わりを割ってくるような相手は苦手。具体的には、サンダースや特殊ボーマンダに苦戦した。また、HBやHDといった耐久に厚いサンダーを使う度に感じるのは、意地ヘラクロスさえ抜けないことによる窮屈さ。周りがヘラクロスに強めなポケモンでない限り、安易に採用するのは危険である。
・自分は身代わりを多めに採用しつつ、相手の身代わりもある程度意識して組んだつもりだったが、使い手の拙さで威張る身代わりにやられてしまったので反省。
・構築ではなくレギュレーションの話になるが、KP上位のポケモンを禁止ではなく制限としたのは、我ながらファインプレーだったと思う。